別人 2013 8 10

 昨年から、このサイトでは、
日本の安全保障については、
「自分の国は自分で守るという体制にすべきだ」と、
何度も書いていますが、それには理由があるのです。
 多くの日本人が思い描いているアメリカは、
「かつてのアメリカ」であって、「今のアメリカ」ではありません。
 要するに、姿形は同じでも、
中身は別人になってしまったと言った方がよいかもしれません。
 歴代のアメリカ大統領で、
「リーダーシップが弱い」と言われたカーター大統領ですら、
人権外交を主張し、人権軽視の国があれば、
強力な指導力を発揮したものでした。
 今のアメリカは、リーダーシップを嫌がる傾向があります。
わかりやすく言えば、「事なかれ主義」で、
「自分の任期中は、やっかいごとが起こらないでほしい」と祈るような気持ちでしょう。
これは、かつてアメリカにあった「孤立主義」とも違います。
 別の角度から書けば、こういうことです。
もう10年近く前に、私は、こう書きました。
アメリカは、やがて白人が少数派となる。
そして、ヒスパニック系が多数派となる日が来ると。
 もう、こうなると、アメリカは、別の国になってしまうでしょう。
「白人が持っている価値観」と「ヒスパニック系が持っている価値観」は、
やはり大きく違うのです。
 一方、アフリカ系アメリカ人、つまり日本では「黒人」と言うでしょうが、
こうした人たちは、産業界に進出するのではなく、
政治の世界、特に地方政治への進出が目立つと聞いたことがあります。
 こうした人種構成の変化が、
やはり、アメリカの政策に現れてくるのです。
 日本人が思い描いているアメリカとは、
冷戦時代にソ連と対峙したアメリカでしょう。
 アメリカは、変わってしまったのです。
そう言えば、大統領選挙の時に「Change」という言葉を何度も聞きましたが、
確かに、アメリカは変わってしまったのです。
姿形は同じでも、中身は別人になってしまったと言ってよいでしょう。
 弱腰と言われながらも、
強力に人権外交を推進したカーター政権が、
今となっては、懐かしい。
 かつてアメリカは「世界に民主主義を広める」と主張していた時代があったのです。
今のアメリカは「そんな面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。
仕事を増やさないでくれ」という気分でしょう。

アメリカの厭戦気分 2013 3 17
 アメリカ軍の士気は高いが、
アメリカ社会の士気は低いと言えるでしょう。
 8年も続いたイラク戦争、
アフガニスタン戦争に至っては、
10年以上経った今でも続いています。
 この二つの戦争が、
アメリカ社会に深刻な影響を与えています。
つまり、厭戦気分が広がっているのです。
 戦争による死者は、
公式発表よりも、かなり多いと言えます。
統計は、定義の仕方によって、数字が大きく変わります。
 知人や友人、親戚、
あるいは近所で、戦死者の話を聞けば、
誰だって、厭戦気分になるでしょう。
 イラク戦争では、州兵まで動員されたのです。
陸軍兵士ならば、最前線の戦場も覚悟していたでしょうが、
州兵は、まさかイラクという戦場に派遣されるとは思っていなかったでしょう。
 ウィキペディアによれば、
州兵の不在が、結果として、
アメリカ国内での災害の発生・拡大に深く影響を与えることも、
2005年のハリケーン・カトリーナによって明らかとなったとあります。
 二つの戦争が、アメリカ社会に与えた傷は大きく、
いまだに、その傷は癒えないと言えるでしょう。
 最近、日本では、日米同盟の強化ということが聞かれますが、
これは、アメリカの軍事力を当てにしているということでしょう。
 しかし、アメリカ社会は深く傷ついているのです。
それでも、日本は、アメリカを頼りにするのですか。
 自分の国は自分で守るのが、世界の常識です。
ましてや、日本は、世界第3位の経済大国です。
その上、世界最大の債権大国です。
このような超大国が、安全保障をアメリカに依存するのは、異常です。
日本の常識は、世界の非常識と言えるでしょう。



































































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